【レースレポート】アイアンマン・ジャパンみなみ北海道/2024 ⑤管理栄養士の補給計画と結果

トライアスロン

トライアスリート&フリーランス管理栄養士の木下ともえです。

2024年9月15日に北斗市と木古内町で開催されたアイアンマン・ジャパンみなみ北海道に出場し、10年ぶりアイアンマンになりました。

完走タイムなどをさっくり知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

2016年五島長崎 国際トライアスロン大会バラモンキングを最後にロングディスタンストライアスロンからは遠ざかっていました。

当時、どのぐらい補給食を摂っていたのか、記録も記憶も全くないので改めてロングディスタンス用の補給計画を立て、アイアンマン・ジャパンみなみ北海道に挑みました。

そもそも、2016年バラモンキングは、なんとサブ12!!!11時間52分!!!

2016年五島長崎 国際トライアスロン大会

総合87位 女子総合4位という信じられない好成績でした。

そんなタイムでは今回はゴールできないので、現在のタイムに合わせた補給計画を立てました。

ショートのトライアスロン伊良湖大会で立てた補給計画はこちらから読めます。

この記事では、栄養管理のプロである管理栄養士アイアンマン・ジャパンみなみ北海道に向けて立てた補給計画とその結果についてまとめました。

スポンサーリンク

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道の補給計画

どのぐらい補給が必要かを調べる前に、アイアンマン・ジャパンみなみ北海道を完走するために必要なエネルギー量を調べ、補給計画を立てます。

ジェルなどの補給食はけっこう値段も高いので、必要な分を用意するためにも必要な作業。

と言いつつ、心配になるので多めに買ってしまいます……。

アイアンマン完走に必要エネルギーな量の計算

まず、アイアンマンを完走するために必要なエネルギー量を計算します。

直近でアイアンマンに出ているトライアスリートは、Garminなどでのエネルギー消費量を参考にしても大丈夫

私は久しぶりですし、ゴールするまでの時間も以前より長くなりそうなので、こちらの記事を参考に計算してみました。

METs 完走予測時間
スイム 7
2分30秒/100m
1.5
バイク 9
25km/時間
7
ラン 10
6分10秒/km
4.5
13

METs(メッツ)は、運動強度の単位で安静時を1とした時と比較し、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。

ともえ
ともえ

管理栄養士ですが、私はMETs計算が苦手。

消費エネルギーの計算式 =METs(メッツ)× 時間 × 体重(Kg) × 1.05

私は体重46Kgで計算しました。

スイム 507kcal
バイク 3,043kcal
ラン 2,174kcal
5,724kcal

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道を13時間で完走するのに5,724kcalのエネルギーが必要だとわかりました。

体内のエネルギーとレース前に補給するエネルギー量の計算

アイアンマン完走に必要なエネルギー5,724kcalとわかりました。

ともえ
ともえ

1個120kcalのジェルだったら、約48個!

そんなに摂取できそうもありません。

5,724kcalをレース中に摂る必要はありません。

グリコーゲンや脂肪と言った体内に蓄えられているエネルギー朝食やレース前に摂るエネルギーは、完走に必要エネルギーから差し引いで、レース中に補給するエネルギー量を計算します。

グリコーゲン 1,532kcal
体脂肪 1,145kcal
朝食 1,000kcal
レース前補給 200kcal
体内に蓄えているエネルギー量 3,877kcal

体内の貯蔵グリコーゲン量はこちらのサイトで計算しました。

体重46kg 体脂肪率18%で計算した結果はこちら。

体重46kg 体脂肪率18%
筋肉量: 18.9kg
グリコーゲン量: 383g
グリコーゲン貯蔵エネルギー: 1,532kcal

体脂肪の燃焼でまかなえるエネルギー量はこちらの記事を参考にしました。

必要エネルギー量の2割を体脂肪の燃焼でまかなうとして計算。

必要エネルギー量 5,724kcal ×0.2 = 体脂肪でまかなうエネルギー量 1,145kcal

朝食で1,000kcal摂って、レースまでにジェルで200kcalを摂るとすると、3,877kcalがレース前に体内に蓄えられるエネルギー量になります。

アイアンマンレース中に補給すべきエネルギー量の計算

完走に必要エネルギー量から体内に蓄えられているエネルギー量を引いて、レース中に補給すべきエネルギー量を計算します。

レース中に必要なエネルギー量 - 体内に蓄えられているエネルギー量
レース中に補給すべきエネルギー量 

私の場合は以下のようになります。

5,724kcal3,877kcal
= レース中に補給すべきエネルギー量 1,847kcal

私がアイアンマンレース中に補給すべきエネルギー量1,847kcalとわかりました。

ともえ
ともえ

思っていたより少ないですね。

私が運動しない日の摂取エネルギー量ぐらい。

Mag-onマグオンだけで補給した場合、

1個120kcalなので1,847kcal÷120kcal=約15個をレース中に摂る必要があります。

私のゴール予測時間 スイム1時間30分+バイク7時間+ラン4時間30分ですが、スイムの間は補給ができないので、バイク~ランの間11時間30分の間に15個を補給するとすると

11時間30分(690分)÷ 15個 = 46分

時間で考えると46分に1個のジェルを摂ればよいことになります。

私はショート70.3、マラソンの補給の目安として、時間ではなく、距離で考えています。

でも、バイク20km1時間ラン10km1時間目安なので1時間に1個ジェルを摂る感じ。

バイク20kmでジェル1個ラン10kmでジェル1個と考えているのでいつも通りの考え方で行くと

バイク180km 9個
ラン42.195km 3個
合計 12個

トランジションしながらジェルを1個摂るので

トランジション① 1個
バイク 9個
トランジション⓶ 1個
ラン 3個
合計 14個

補給の摂取目標の数値になるかなと思っていたのですが、久しぶりのアイアンマンディスタンスで予測よりも時間がかかった場合が心配になり、多めの補給計画を立てました。

摂取タイミング 内容 個数 エネルギー量
トランジション① グー リキッドエナジー
ストロベリーバナナ 95kcal
1 95kcal
オーエスワン ゼリー
20kcal
1 20kcal
バイク GUロクテインエナジー
ドリンクミックス250kcal
2 500kcal
ANDO_
100kcal
7 700kcal
Mag-on(ノンカフェイン)
120kcal
4 480kcal
Mag-on(カフェイン入り)
120kcal
2 240kcal
トランジション⓶ オーエスワン ゼリー
20kcal
1 20kcal
ラン Mag-on(ノンカフェイン)
120kcal
3 360kcal
合計 2,415kcal

収支を計算してみると

補給計画エネルギー量2,415kcal ー レース中に補給すべきエネルギー量1,847kcal
= 568kcalオーバー

足りなくなるよりも余ったほうがよいかなと思い、この計画通りに準備してレースに挑みました。

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道レース前の補給

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道のレース当日のスタート前に食べたものを紹介します。

朝食

レース前の朝食は、いつもおにぎりがメイン。

食物繊維が少なめがいいので海苔がついていないおにぎりを選び、大好きなとろーり冷やしみたらしをセブンイレブンで調達しました。

塩むすび
174kcal
2 348kcal
ふっくらお揚げのいなり
181kcal
2 362kcal
とろーり冷やしみたらし
256kcal
1 256kcal
合計 966kcal
ともえ
ともえ

朝食で1,000kcalが目標だったのでほぼ目標達成!

朝食後から会場移動の間にポカリスエット(100ml25kcal)も飲んでいたので1,000kcalは突破していると思います。

スイム会場での補給

スイム会場に入ってから、計画では200kcalでしたが実際は327kcal摂り、127kcal計画より多く摂取しました。

準備中

バイクやスイムの準備をしながら、エネルギー補給。

ライスピュレみたらし団子味
100kcal
100kcal
グー リキッドエナジー
ストロベリーバナナ 95kcal
1 95kcal
合計 195kcal

試泳前

試泳の前にアミノバイタルを配っていたので、計画にはありませんでしたがありがたくいただきました。

アミノバイタル アミノショット
パーフェクトエネルギー

109kcal
1 109kcal
アミノバイタル アミノショット
BCAA

23kcal
1 23kcal
合計 132kcal

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道レース中の補給

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道のレース中に実際に摂った補給食をパートごとに紹介します。

トランジション① スイム→バイクの補給

バイクの準備をしながら、エネルギー塩分の補給。

グー リキッドエナジー
ストロベリーバナナ 95kcal
1 95kcal
オーエスワン ゼリー 20kcal 1 20kcal
合計 115kcal

スイムの様子はこちらで読めます↓

バイク180km中の補給

バイク中はメカトラブルもあったせいか、あまりお腹が空かなかったのですが、20kmに1個のルールは守るようにしていました。

ともえ
ともえ

後半はお腹が空いてきたときはには、もう少し短い間隔で食べました。

ルールに縛れらるのもよくないので自分の感覚大切にしています。

記憶が定かではないところもありますが、バイク180km中に摂った補給食です。

GUロクテインエナジードリンクミックス
ストロベリーハイビスカス 250kcal
1 250kcal
GUロクテインエナジードリンクミックス
グレープ 250kcal
1/2 125kcal
ANDO_
100kcal
6 600kcal
Mag-on アップル
120kcal
2 240kcal
Mag-on グレープフルーツ
120kcal
1 120kcal
Mag-on ピンクグレープフルーツ
カフェイン入り 120kcal
1 120kcal
合計 1,455kcal

1,455kcalにエイドステーションでもらったアクエリアス(100ml19kcal)のエネルギーがプラスになります。

どのぐらいアクエリアスを飲んだか覚えていませんが、大したエネルギー量ではないと思うので、ここではレース中の摂取エネルギーには加えないことにします。

いつもはジェルでエネルギー補給をするのですが、今回はドリンクでもエネルギーを補給しようと思い、GUロクテインエナジードリンクミックスを採用してみました。

思ったほど飲めなかったので、次回以降はスポーツドリンクでよいかなと思いました。

アイアンマン70.3東三河の時のように、三ケ日みかんジュースでもよいかもしれない。

トランジション⓶バイク→ラン中の補給

トランジション⓶では、塩分補給オーエスワンゼリーのみを摂りました。

オーエスワン ゼリー
20kcal
1 20kcal

ラン42.195km中の補給

いつもトライアスロンのランパートではあまり補給ができないけれど、今回もやはり摂れなかったです。

その代わり、約1.5~2.5km間隔に設置されるエイドステーションで必ずコーラを飲みました。

コーラ100mlあたり45kcal

ともえ
ともえ

ペットボトル1.5本分750mlぐらいは摂っているかな?!

コカ・コーラ
100m l45kcal
750ml 338kcal

120kcalジェル3個分ぐらい摂っている感じ。

でも、正確な量はわからないのでラン中の摂取エネルギーには加えないでおきます。

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道レース中の総エネルギー摂取量

実際にレース中に補給した総エネルギー量を計算しました。

トランジション①
グー リキッドエナジー
ストロベリーバナナ 95kcal
1 95kcal
オーエスワン ゼリー
20kcal
1 20kcal
合計 115kcal
バイク
GUロクテインエナジードリンクミックス
ストロベリーハイビスカス 250kcal
1 250kcal
GUロクテインエナジードリンクミックス
グレープ 250kcal
1/2 125kcal
ANDO_
100kcal
6 600kcal
Mag-on アップル
120kcal
2 240kcal
Mag-on グレープフルーツ
120kcal
1 120kcal
Mag-on ピンクグレープフルーツ
カフェイン入り 120kcal
1 120kcal
合計 1,455kcal
トランジション⓶
オーエスワン ゼリー
20kcal
1 20kcal
ラン 0 0kcal
総合計 1,590kcal

レース中に試算したレース中に補給すべきエネルギー量1,847kcalでした。

補給すべきエネルギー量 1,847kcal ー 補給したエネルギー量 1,590kcal
257kcal
ともえ
ともえ

257kcal少なかった。

でも、スタート前に計画外のアミノバイタルで132kcalバイク中のアクエリアスラン中のコーラの分もあるのでエネルギー不足にはなっていないかな?

実際、低血糖でフラフラになることもなくゴールできたのでエネルギーは足りていたのだと思います。

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道 摂取・消費エネルギー量の収支

感覚的には大丈夫でしたが、実際に摂取したエネルギー量消費エネルギー量収支を確認してみましょう。

Garminウォッチのアイアンマン・ジャパンみなみ北海道消費エネルギー量4,266kcalでした。

しかし、バイクの中で操作を間違えたので正確でない可能性があるので、補給計画と同じようにMets(メッツ)で計算してみました。

METs 完走時間
スイム 7
2分30秒/100m
1.5
バイク 8
20km/時間
7.7
ラン 10
6分10秒/km
4.2
13.4

Metsはこちらの記事を参考にしました。

*Metsはだいたいの数値を採用しています。

消費エネルギーの計算式 =METs(メッツ)× 時間 × 体重(Kg) × 1.05

体重46Kgで計算。

スイム 507kcal
バイク 2,975kcal
ラン 2,029kcal
5,511kcal

試算の消費エネルギー量と比較してみると

試算 結果
スイム 507kcal 507kcal
バイク 3,043kcal 2,975kcal
ラン 2,174kcal 2,029kcal
5,724kcal 5,511kcal

13時間44分でゴール

予測完走タイム13時間だったので44分長くかかりました

スイムは予想通りでしたが、バイクはスピードが遅くて強度が低くランは思ったよりも速く走れたので、試算よりもエネルギー消費量が213kcal少なかったようです。

ともえ
ともえ

バイクのリアのギア変速ができなかったせいにしておきましょう。

摂取したエネルギー量(体内のエネルギー量含む)消費エネルギー量収支を計算してみます。

摂取エネルギー(体内+補給エネルギー量) 5,564kcal
 グリコーゲン 1,532kcal
 体脂肪 1,145kcal
 朝食 966kcal
 レース前補給 331kcal
 レース中補給 1,590kcal
消費エネルギー量 5,511kcal
エネルギー収支 53kcal
体内+補給エネルギー量5,564kcal ー アイアンマン消費エネルギー量5,511kcal
53kcal
ともえ
ともえ

53カロリーオーバー!

計算上もエネルギー枯渇することなく、アイアンマンを完走できたことがわかりました。

アイアンマン・ジャパンみなみ北海道の補給まとめ

事前に立てた補給計画通りとはいきませんでしたが、エネルギー収支はバッチリ元気に完走できたので補給には成功!

計算上はバッチリでも感覚的にエネルギー不足を感じたり、低血糖になっていたら失敗だと思います。

カロリー計算はあくまでも計算です。

個人の体質体調環境補給食との相性もあるので感覚計算を確認して、次のレースに活用していくことが大切だと思います。

ともえ
ともえ

管理栄養士なのに補給に失敗したらとドキドキしていたので元気にゴールできてよかった。

私は走りながらジェルで補給ができないのでバイクでエネルギー満タンにするスタイル。

また、レース中の咀嚼は余分なエネルギーを使うような気がするのでで避けたいので、噛む必要があるような補給食は摂らないし、ジェルも柔らかいものを選んでいます。

ANDO_さらさらのあんこ塩分も補給できるのでオススメ!

補給のスタイルは人それぞれなので、練習やレースで試してみて自分に合った方法を見つけることが大切だと思います。

ともえ
ともえ

これは、トレーニング方法やダイエット方法も同じかな?!

計算が苦手なので間違っているところもあるかもしれません。

もし、見つけたら教えてくださいね。

私の補給計画と結果があなたの補給の参考になれば、幸いです。

タイトルとURLをコピーしました